ヘルペスの症状

ヘルペスの症状】 ヘ ルペスの名ははギリシア語のherpetos(這う)に由来し、水泡が皮膚を這うように拡がることからきています。単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染 によって起こる性器の皮膚の炎症です。HSVは皮膚粘膜に接触感染すると神経を伝わって仙髄神経節(仙骨の奥の神経中枢)に行きここで潜伏感染します。潜 伏したHSVは体力の低下などをきっかけとして再活性化、増殖して神経を伝わり陰茎や外陰部の皮膚や粘膜に達してここで病変を起こします。時に病変をつく ることなくウイルスだけ排出する場合(無症候性ウイルス排泄者)があります。

 発症様式により初感染初発再発の3型に分類されます。
 初感染
(初感染初発)では性交渉などの感染の機会があってから2〜7日(〜21日)して性器や肛門のまわりに不快感や痒みが生じ、 軽い刺激感を伴って赤い小さな水ぶくれが群がって現れます。男性では皮疹は 亀頭、包皮、陰茎の頚周り、その少し付け根などの皮膚にできます。女性では外 陰部(膣の入り口の周囲の皮膚)にできます。初めは皮膚がピリピリし小さな赤い水泡ですが、その後皮膚に小さな潰瘍(水泡がつぶれた跡)ができます。潰瘍 の周りは赤くなっていて少し隆起している事もあります。やがて黒っぽいかさぶた(痂皮)ができて治っていきます。水疱は自身では見逃す事も多いのですが水 疱の有無、痛みが有るか無いかは問診上重要です。
初感染では性器の疼痛はかなり強く排尿や歩行が困難となり入院して治療することもあります。多くの場合鼠径リンパ節の腫脹と疼痛が見られます。全身症状として発熱、頭痛、倦怠感などが生じることがあります。

 初発(非初感染初発):すでに潜伏感染していたHSVが再活性化して初めて病変として出現した場合です。抗がん剤や免疫抑制剤、副腎皮質ステロイド剤などの投与時や、放射線、手術、精神的・肉体的ストレスなどを契機に出現することが知られています。

 再発:潜伏感染していたHSVが再活性化し繰り返し病状が出現することがHSV感染症の特徴です。症状は比較的軽く1〜2週 以内で治癒します。病変は陰茎や外陰部の毎回同じ部位に、赤みがかった小水疱が出現します。潰瘍を作り痂皮が形成され治癒します。出現する前に病変部やそ の周囲のピリピリ感や違和感を前駆症状として気づく人もいます。再発しても疼痛は僅かで期間も短いのですが精神的ストレスは大きな負担になっています。

 【1型と2型】 単純ヘルペスには1型と2型があります。
 1型は主に口唇とその周囲の顔面に発症します。2型は主に外性器に感染を起こします。風邪をひいたときなどに唇の周囲にできるのが1型です。単純ヘルペ スは感染力が強く、直接接触のほかに、ウイルスのついたタオルや食器、などを介しても感染します。2型は性器の接触以外にタオルや便座を介しても感染する ことがあります。従来は1型は性行為とは関係なく、知らない間に乳幼児期に感染し、自分で抵抗力を持っている事が多く、知らずのうちに1型に対して抗体を 持っていました。近年は核家族化、衛生状態の普及などにより抗体を持っている人の割合は20代で半数以下になったと言われています。1型では乳幼児期の感 染は無症状か軽微であるのに、成長してからの初感染は症状が重くなりがちです。もし1型に対して抗体を持っていると2型に対しても感染しにくく発症しても 軽微です。
 
 従来は口唇周囲は1型単純ヘルペス、性器とその周囲は2型単純ヘルペスとされていましたが細菌はオーラルセックスなどのため性器ヘルペスでも1型感染の の割合が徐々に増えてきています。一般診療レベルでは1型と2型を鑑別する方法は無く、肉眼的にも鑑別は困難です。性器に感染した場合2型より1型の方が 初感染における症状は重症です。再発を繰り返す場合は2型のことが多いです。

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